原発・エネルギー・温暖化はトリレンマを構成している。
それぞれ、個別にジレンマにさいなまれていることを踏まえ、科学的に、人間的に、解決していかなければならない。
温暖化の問題一つとっても、利害関係者が多様で、問題の捉え方が多様である。多種多様な問題が異なる立場から、指摘され、複雑に絡み合っている。解決行動につなげるには、認識を共有し、信頼を構築することが不可欠である。
IPCCの報告に対する評価も多種多様である。問題を整理する必要がある。
そこが聞きたい:地球温暖化の最新報告 三村信男氏の要点は以下のとおりである。
- 改定された報告書で注目すべき点はどこですか。
「温暖化は世界に広く影響を与えている」と明記したことです。
また、20世紀後半と比べて4度以上気温が上昇すれば、世界的な食料不足を招きかねないとの予測を盛り込むなど、温暖化が人間の生存そのものに関わることを指摘したのも特徴です。
- 適応策の現状は。
報告書では適応策の重要性とともに限界も指摘しました。気温が上がりすぎたら、人間の力では対応できなくなりますし、一方で少子高齢化や財源不足によって、対策が実行できなくなる恐れもあります。二酸化炭素など温室効果ガスの排出削減を強化し、対処できる範囲に気温上昇を抑えないと将来のリスクは小さくできません。
- IPCCの報告書は、国際交渉や各国の施策に影響を与えています。
温暖化対策で重要なのは、各国の国益と地球益をどこで折り合わせるかということです。
報告書は参加国が全会一致で承認した上で公表されます。
- 第2次報告書(1995年)から執筆者を務められています。この間、温暖化を巡る世界の動きをどのように見てきましたか。
97年に採択された京都議定書=2=がなかなか発効せず、世界の動きは鈍いといら立ちを覚えました。
潮目が変わったと感じたのは07年です。
温暖化が重要な政治的課題であるとの認識は定着したと思います。
- 温暖化の日本への影響は。
今世紀末の日本では平均気温が20世紀末に比べ6度以上上昇し、年間の洪水被害額は20世紀末の約3倍(最大約6800億円)と予測しました。また熱中症や高温で持病が悪化して死ぬ人の数は2倍以上になると考えられます。
日本では、自然科学的な分析は進んでいますが、その成果を行政に反映させる取り組みは遅れています。
- 日本政府は来年夏、国レベルの適応計画をまとめる予定です。
一度計画を策定したら終わりではなく、科学的な予測の深まり、現実の社会の変化に合わせて、目標や対策を繰り返し見直すことも欠かせません。
以上の結果を踏まえ、整理をスタートさせていく。