原発依存ゼロシナリオの「盲点」を話そう
- 原発依存度を基準にした3つの選択肢、1:ゼロシナリオ、2:15%シナリオ、3:20~25%シナリオのうち、多数が支持をしたのは「依存度ゼロ」のシナリオだった。
- 出発点は日本のエネルギー自給率が4%しかないという現実です。
- エネルギー安全保障(Energy Security)、エンバイロメント(Environment)、つまり環境・地球温暖化。エフィシェンシー(Efficiency)はコストのことで、「3E」。「S」は安全(Safety)。
「やめる」技術を維持することはできない
- しかし、使いやすさの「Convenience」という面がある。
- やめると決めて技術を維持するのは不可能です。
- 福島の事故を奇貨として安全技術を開発・進化させて洗練されたものを国際的に共有すること。
- 54基の原発が止まった結果、燃料コストは3~4兆円上った。約10円/kWhである産業向け電力価格の3~4割上昇に相当します。
あまりにも大きな試算のばらつき
- 電力価格の上昇率が低いモデルは、価格弾性値が非常に高い。
- 日本のこれまでのトレンドを見ても、エネルギーの価格弾性値は低いのです。
- ゼロシナリオは再生エネルギー35%、化石燃料65%です。
- これに対して20~25%シナリオでは、原子力25%、再生エネルギー25%、化石燃料50%。当然、CO2の排出面では20~25%シナリオのほうが有利になる。
- ところが、エネルギー環境会議の資料では、両者の排出量はほぼ同じなんです。
- 原発を維持すれば、核のゴミが溜まり続け、リスクが拡大していきます。安全面での本質的矛盾が横たわっています。
- 原発はトイレのないマンションと言われてきました。その懸念は、正当だと思います。
- フィンランドの人の話では、あの国に安全神話はない。しかしながら合理的にリスクを減らせるとフィンランド国民は考えているそうです。原子力発電所の周辺住民の6割以上が原発政策を支持している。
- フィンランドの場合、施設の固定資産税を高く設定し、税収の増大を認めるとか。
- 核のゴミ置き場の合意形成は、とても難しい。加えて10万年大丈夫なように穴を掘って核のゴミを埋めるという技術が、はたして確立できるものでしょうか。
- 核燃料サイクル、とくにバックエンドの放射性廃棄物の処分の議論は国際協力で解決するスタンスをもっと全面に出すべきだ
- モンゴルで採掘、加工されたウラン燃料を日本や欧米、中東、アジア諸国などに販売し、その使用済み燃料をモンゴルが引き取って、中間貯蔵するという構想です。
- むしろ10万年経っても大丈夫なように全世界の知恵を結集していかなくてはなりません。
- アメリカやイギリス、フランスが引き続き原子力利用を推進するのは、くり返しますが「3E」のうち、特にエネルギー安全保障と地球温暖化への対応のためです。
- 原発は、そもそも不確実な部分が多く、民間会社が背負うのは困難。原発を民間から切り離し、国の管理下に置き、責任をハッキリさせたうえで縮小させるべきとの議論もありますが、
- 国の管理には反対です。ただし、安全技術やノウハウを発電会社が共有し、事故対策にも応じられる体制を整えることには賛成。
規制を強化するなら責任も有限にするべき
- 日本の賠償法は、無限責任か免責かというスキームですが、これは不適当です。
- 規制厳格化・進化と有限責任はセットです。
2030年の原発比率、決めるのは国民:日経ビジネスオンライン
- 国民の立場からは、なぜ3択なのか、なぜ2030年なのか、などの疑問はある
- 簡単に言ってしまえば、原発をすぐやめるか、現状設備を維持しつつ40年かけて漸減するか、の選択である。
15%実現のためには常時15基の稼働が必要
- 日本に存在する商用原発の総数が54基、平均稼働率が60%程度であったから、単純化して言えば、平均して常時30基程度の稼働で、総発電量の30%前後を賄ってきた
- そう考えると、20~25%はもちろん、15%でも極めて難しいことは明らかだ。
CO2対策も忘れてはならない
- 日本という国の範囲内で数十年の単位で考えると原発事故による放射能問題の方が大きいが、世界規模で100年単位で考えると地球温暖化の方がはるかに深刻である。
- 今となっては、原発30%案はあり得ないが、後で説明するように、原発ゼロにすると火力発電の比率をあまり下げることができなくなる。CO2削減の観点からは、「原発ゼロ」は極めて難しいのである。
- 3.11前の発電量である1兆kWhを100%として
- CO2削減の観点からは、原発を15%程度残し、火力発電の比率を30%まで下げたいところだ。
ソーラー推進のため根こそぎ総動員を
買い取り価格の「適正化」も
2030年のために「今」なすべきこと
- 技術開発の点からは「18年もある」ではなく「18年しかない」のである。

原発問題は「10万年先の未来を考える」好機だ:日経ビジネスオンライン
- 福島は日本の将来を暗示しつづけている。
- 「数字よりも価値基準の議論が必要」「ローマクラブが活用したシステムダイナミクスというシミュレーション技法を使ってはどうか」という反応が返ってきた。
- インターネット時代のオープンガバメントの象徴的な出来事
- 複雑にいろいろな要因が絡み合っているエネルギー問題を、たった3つの数値化した選択肢に集約した点には疑問を抱きました。
- まず驚いたのは、2030年に焦点を絞っていること
- 「将来世代に影響の及ぶ課題の選択」「将来世代の負担低減」と本気で言うのなら、 2030年ではあまりに近視眼的です。
- 「動的な因果連鎖をモデル化する」シミュレーション技術を用いて、深層構造に迫る議論を行う必要があります。
- システムダイナミクスは、ローマクラブのメッセージの根拠を明快なモデルで示しました。実は、今回の対談の予習として、私なりに思考の整理のために、今回の日本のエネルギー論議の論点の関係チャートを作ってみました。
- 第一に地震や津波などの「自然災害」。二つ目は緊急事態が生じたときの原子炉の冷却システムなどの「技術的課題」。そして三つ目が「人的組織的課題」です。
- 自然災害はもちろん、人的組織的課題も、実は基本的に我々はコントロールできません。
- となると、政府の「エネルギー・環境に関する選択肢」には、原子力の安全確保について「徹底した安全対策の強化によりリスクを最小化し」と書いていますが、これはイリュージョン(幻想)ですね。
- 1万年単位で考えれば、東日本大震災級の地震、津波は100回以上、起きると予想されます。その確率と被害予測を、きちんと盛り込まなければおかしい。
- 『オンカロの取材をしたとき、学者たちに「最終廃棄物処理場が作れない国があるとしたらどこか」という質問をしました。その答えは日本でした。現在の科学では放射性廃棄物の処理は地層処理しかないと言われていますが、地層処理場ができないのに原子力を持っている国である日本は、火山があり地震があり、常に地層が安定していません』。彼の指摘は本質を突いていると思います。
- 根元からリスク要因を取り去るしかないでしょうね。安全面では、使用済み核燃料、放射性廃棄物の最終処分の方法を決めずに原発を維持するのは、将来世代に対して、あまりに無責任です。
- そのリアリティが、日本全体に伝わっていないような気がします。
- 電力会社が原発再稼働を求める本音は、原発の不良債権化への怖れです。
- 電力界は、日本が軍国化し、戦争へ突入する過程で大きな役割を担いました。明治期に興った電力産業は、長く、民間会社が群雄割拠して発展しましたが、1939年(昭和14)年に官主体の特殊法人「日本発送電株式会社」に一本化されます。これを機に、国家総動員体制が敷かれ、日本はすべてを戦争遂行へと注ぎ込んでいきます。
- 戦後、GHQによって、日発は9電力に解体されますが、電力というのは文字どおり「パワー」。政治権力とつながっています。そういう意味でも、より理性的に将来をシミュレーションする手段が求められます。
- 「安全」や「豊かさ」という普遍的な価値とは何なのか、「未来」の人類に対して我々はどのような責任を負っているのか、そういう本質的な問題を、十分長期的な視点から考えていないように思えてなりません。
民主党が陥った原発ゼロの「死角」:日経ビジネスオンライン
福島原発事故から医療者は何を学んだか| nikkei BPnet 〈日経BPネット〉
核のゴミ、とりあえず時間を買おう:日経ビジネスオンライン
原発城下町から脱皮 50キロ圏内の市が下した決断 チェルノブイリ27年後の転機(2)
「世界に自分たちで情報発信したい」 双葉郡子供未来会議
フクシマと世界つなぐ 国連大学サステイナビリティと平和研究所
「福島原発事故、国際社会へ説明を」
温暖化で「極端な気象」頻発 IPCCが警告
節電定着で電力に余力 今冬見通し、経産省発表
東電再建と復興の進め方、関係者に聞く
福島原発事故、「大人のがん増加リスクない」 :日本経済新聞
東電再建と復興の進め方、関係者に聞く
原発危機の真実(No01~No08)
2012年10月12日
2012年5月25
9・11学術会議報告書の衝撃9月11日、日本学術会議は内閣府原子力委員会に対して「高レベル放射性廃棄物の処分について」という報告書を提出した。最高の学問的権威を持つ組織がこの提言を出したことは、想像を絶する重さを持つ。
- 政府も財界も気づかない最大の「アキレス腱」
「原発ゼロ社会」というのは、「政策的な選択」の問題ではなく、「不可避の現実」だという問題です。
原子力発電と核燃料サイクルが抱えてきた最も致命的な「アキレス腱」が切れてしまったからです。
要するに、原子力発電と核燃料サイクルから発生する「ゴミ」を安全に捨てる方法が確立されないかぎり、いずれ、原発は稼働できなくなる、という問題です。
- 世界が壁に突き当たる高レベル廃棄物の最終処分
原発推進に懸念を表明される方々の「トイレなきマンション」の批判に応えるためでした。
- 学術会議報告書の持つ「深刻な意味」
「高レベル放射性廃棄物や使用済み核燃料については、現時点で、十万年の安全性を保証する最終処分(地層処分)を行うことは適切ではなく、数十年から数百年の期間、暫定保管をすべきである」との提言をした
- 「暫定保管」と「総量規制」がもたらす全原発停止
このただ一つの決定的な理由によって、遅かれ早かれ、好むと好まざるとにかかわらず、我々は、原発を止めざるを得なくなるのです。
- 政府と財界は「幻想」を抱かず、「現実」を直視すべき
「日本では地層処分はできない」という問題に対する解決策を、「長期貯蔵」という政策的選択も含め、真剣に検討し、真摯に国民に対して示すことなのです。
- 現在の科学では証明できない「十万年の安全」
学術会議の指摘は、正鵠を射ていると言わざるをえません。
一つは、地層処分を行う地層が、数万年から十万年以上安定であることを証明することであり、もう一つは、この地層の岩盤中での地下水の流速が極めて遅いことを証明することです。
現在の科学のレベルでは、この二つの点を証明することは、極めて難しいのが現実です。
現在の科学では、地震の発生や地下水の挙動を十分に予測することはできず、今回、学術会議が指摘した「現在の科学では、十万年の間に、何が起こるか予測はできないため、その安全を証明することはできない」ということは、認めざるを得ない現実なのです。
- 「長期貯蔵」を密やかに準備する諸外国
諸外国も、公式には「地層処分」を掲げつつも、その実施が困難になることを想定して、バックアップの政策を策定しています。
「最終貯蔵」(terminal storage)方式で未来の世代に選択権を9月11日に日本学術会議が「高レベル放射性廃棄物の処分について」という報告書を出した。この中で、「高レベル放射性廃棄物や使用済み燃料については、数十年から数百年の期間、暫定保管をすべきである」との提言...
- 「脱原発政権」も直面する深刻な問題
現在の科学では、この地層処分という方式の「十万年の安全性」を証明することは不可能であることを述べました。
この「最終処分」(final disposal)ができないときの代替策として「最終貯蔵」(terminal storage)を検討すべき
「高レベル放射性廃棄物」という言葉は、しばしば、「使用済み燃料」を含む広義の意味で使われることもありますので、報告書などを読むときは留意する必要があります。
- 突如、出現した「高レベル放射性廃棄物」
本来は、時間をかけて解決していけばよい問題でした。
昨年3月11日、突如、「高レベル放射性廃棄物」が、目の前に出現した
これらの高レベル放射性廃棄物は、再処理工場から出てくるものとは異なり、その形状も、組成も、性質も、放射能量も不明であり、全く品質管理が行われていない高レベル放射性廃棄物なのです。
その結果、3月11日以前は「未来の問題」であった高レベル放射性廃棄物の最終処分の問題を、突然、「現在の問題」にしてしまったのです。
- 不可能になった「地層処分計画」
福島原発事故によって、原子力施設と放射能汚染に対する不安と懸念が、多くの国民の中に広がってしまった
「仮想の問題」だったのです。しかし、それが、事故の後は、極めて明確な「現実の問題」になってしまいました。
原子力施設についての社会心理的な拒否反応が、事故以前に比べ、比較にならないほど厳しいものになってしまったのです。
全国に「放射能汚染している可能性がある廃棄物の持ち込みは拒否する」という社会心理が広がっています。
除染作業の結果発生する東京ドーム23杯分と言われる「汚染土」や、福島原発での汚染水処理の結果出てくる「高濃度放射性廃棄物」は、今後、どこに貯蔵し、どのような方法で、どこに最終処分するかが、深刻な問題になっていくでしょう。
- 証明できない「十万年の安全」
高レベル放射性廃棄物の場合は、これを「地層処分」によって地下深くに埋めたとき、それが元のウラン鉱石の毒性と同じレベルにまで減衰するのに、「数万年」が必要であり、使用済み燃料の場合は、「十万年」が必要になるのです。
この地層処分の安全評価の最も難しいところは、「十万年の未来」の安全性を、現在の科学では証明できないという点です。
十万年の間に、地下水によって放射能が運ばれるプロセスをコンピュータでシミュレーションして、例えば「三千年後の地表での公衆の被曝線量はこの程度です」と示すことはできるのですが、では、その予測が「正しい」ということを科学的に証明せよと問われると、答える方法が無いのです。
- 最も安全評価が難しい「人間侵入シナリオ」
未来において、使用済み燃料や高レベル放射性廃棄物を地層処分した場所に、偶発的に、もしくは意図的に、人間が侵入し、放射能を地上に拡散してしまうというシナリオです。
この問題は、これまでの人類の歴史、数千年を超えた未来の話なのです。その未来において、記録を保管すべき国家がどのような状況になっているのか、また、その社会でどのような言語が使われているかも分からないのです。そこに、本質的な難しさがあるのです。
- 高レベル廃棄物を「資源」と考える未来の人類
埋められた放射性廃棄物を、「資源」と考える人間です。
実は、過去の世界の地層処分安全評価研究において、最も悩ましいシナリオと考えられたのが、この有価資源を求めて意図的に地層処分場に人間が入ってくる「人間侵入シナリオ」なのです。
実際、歴史を振り返れば、ピラミッドなど、財宝が安置された場所は、厳重な防御にもかかわらず、必ずと言ってよいほど、盗賊に侵入され、財宝が盗み出されています。
- 「科学的証明」ではなく「社会的受容」の問題
この地層処分の問題は、突き詰めていくと、「こうしたシナリオが起こらないということを、科学者が証明できるかどうか」という「科学的な論証」の問題ではないのです。
この問題の本質は、「こうしたシナリオが起こらないという説明を、国民が受け容れるかどうか」という「社会的な受容」の問題なのです。
分かりやすく言えば、「国民が政府を信頼し、政府の示す安全評価の結果を信じ、政府のプロジェクト計画を受け容れること」です。
その大前提として、「政府に対する国民の信頼」が、極めて重要なのです。
- 意識の成熟が求められる「世代間倫理」の問題
もし我々の世代が、無責任に「どうせ、我々の世代に被害が生じるわけではない」と考えてしまうならば、実に容易に、未来の世代に対して「負担」と「リスク」を押し付けることができる
我々の世代が、「世代エゴ」に陥らない「成熟した意識」を持っているか否かを、深く問うてくる - 「地層処分」以外の二つの方法
一つが「宇宙処分」と呼ばれる方法
「消滅処理」と呼ばれる方法です。
「コストが高い」という理由で、現時点では現実的な選択肢になっていません。
現実的な選択肢として考えるならば、私は、当面、「最終貯蔵」という方法を採るしかない
- 未来の世代に選択権を残す「最終貯蔵」
「処分」とは、英語では「disposal」ですが、「人間の管理から外す」ということが、本来の定義です。これに対して、「貯蔵」とは、英語では「storage」ですが、「人間の管理下に置き続ける」ことを意味しています。そして、この二つの行為の本質的な違いは、「回収可能」(retrievable) か、どうかです。
従来の高レベル放射性廃棄物の地層処分の考え方は、この「最終処分」(final disposal)であり、人間の管理から外し、将来の人類に、これを回収する可能性を残さないという考えです。
「最終貯蔵」(terminal storage)は、長期にわたって、高レベル放射性廃棄物を人間の管理の下に置き、将来の人類が、これを回収する可能性を残すものです。そして、将来の人類が、この高レベル放射性廃棄物を安全に最終処分する「新たな技術」を開発したときに備えるのが、この「最終貯蔵」という方法です。
- 「最終処分施設」ではなく「最終貯蔵施設」を
「地層処分」に比べれば、住民と国民の理解と納得を得られる可能性はあるでしょう。ただ、そのときも、鍵となるのは、やはり「政府に対する国民の信頼」です。
なぜなら、この問題は、数万年から十万年もの未来に至る問題であり、その未来においては、国家や国境の概念が大きく変わっている可能性があるからです。現在のところ、この問題は、「各国ごとの取り組み」に任されていますが、その本質は、「一国」の問題ではなく、「世界全体」の問題に他ならないのです。
政府は「原子力環境安全産業」の創出を現在、政府は「脱原発依存」政策の具体化を検討を進めている。しかし、有識者の中には「政策を進めると、日本の原子力産業は衰退し、必要な原子力技術が確保できなくなる」との声もある。
- 原子力産業の「原子力環境安全産業」への進化を
第一に、「脱原発依存」の政策を宣言しても、それによって、ただちに、すべての原発と原子力施設が無くなるわけではないからです。第二に、その廃炉や解体の作業から膨大な放射性廃棄物が発生するからです。従って、この使用済み燃料や高レベル放射性廃棄物を、安全に管理・貯蔵・処分していかなければならないからです。通常の廃炉技術とは全く異なった新たな技術開発が求められるものなのです。
- これから求められる「新たな技術開発」
第三に、福島原発事故の結果、周辺環境中には、大量の放射性物質が放出されており、これらの除染作業も、今後、かなりの長期間にわたって続けなければなりません。当然、この除染作業の結果発生する膨大な放射性廃棄物についても、安全に処理・処分しなければならないのです。第四に、福島原発の事故対策において発生した膨大な汚染水とその浄化処理の結果発生している高濃度放射性廃棄物も、その処理・処分の方法を開発しなければなりません。第五に、この事故の結果、国内各地での農水産物や食料品などに放射性物質が検出される事例も多発しており、適切なモニタリングと放射能検査、科学的・医学的説明を通じて多くの国民の安全と安心を確保していかなければなりません。我が国の原子力産業は、「原子力発電産業」から「原子力環境安全産業」と呼ぶべきものへと進化していく必要があります。
- 原子力環境安全産業を構成する「五つの産業」
第一は、「安全操業産業」第二は、「安全解体産業」第三は、「安全処分産業」第四は、「環境浄化産業」第五は、「環境安心産業」福島原発事故を経験した日本は、まず何よりも、従来の「原子力発電産業」を、この「原子力環境安全産業」へと進化させていくべきでしょう。これらの技術者に対して「働き甲斐」を示すことができなければ、優秀な技術者が原子力産業から離れていき、技術やノウハウの継承が難しくなるだけでなく、今後の廃炉や除染、放射性廃棄物の処理・処分などの事業も、円滑に進めていくことが難しくなってしまいます。
- 「国際的産業」になる原子力環境安全産業
「原発のリスク」は、日本だけが「脱原発依存」に向かっても、決して避けることができない
第一に、「脱原発依存」の政策を宣言しても、それによって、ただちに、すべての原発と原子力施設が無くなるわけではないからです。第二に、その廃炉や解体の作業から膨大な放射性廃棄物が発生するからです。従って、この使用済み燃料や高レベル放射性廃棄物を、安全に管理・貯蔵・処分していかなければならないからです。通常の廃炉技術とは全く異なった新たな技術開発が求められるものなのです。
第三に、福島原発事故の結果、周辺環境中には、大量の放射性物質が放出されており、これらの除染作業も、今後、かなりの長期間にわたって続けなければなりません。当然、この除染作業の結果発生する膨大な放射性廃棄物についても、安全に処理・処分しなければならないのです。第四に、福島原発の事故対策において発生した膨大な汚染水とその浄化処理の結果発生している高濃度放射性廃棄物も、その処理・処分の方法を開発しなければなりません。第五に、この事故の結果、国内各地での農水産物や食料品などに放射性物質が検出される事例も多発しており、適切なモニタリングと放射能検査、科学的・医学的説明を通じて多くの国民の安全と安心を確保していかなければなりません。我が国の原子力産業は、「原子力発電産業」から「原子力環境安全産業」と呼ぶべきものへと進化していく必要があります。
第一は、「安全操業産業」第二は、「安全解体産業」第三は、「安全処分産業」第四は、「環境浄化産業」第五は、「環境安心産業」福島原発事故を経験した日本は、まず何よりも、従来の「原子力発電産業」を、この「原子力環境安全産業」へと進化させていくべきでしょう。これらの技術者に対して「働き甲斐」を示すことができなければ、優秀な技術者が原子力産業から離れていき、技術やノウハウの継承が難しくなるだけでなく、今後の廃炉や除染、放射性廃棄物の処理・処分などの事業も、円滑に進めていくことが難しくなってしまいます。
「原発のリスク」は、日本だけが「脱原発依存」に向かっても、決して避けることができない
- 「世界的な原発リスク」に処する二つの方法
一つは、世界中の原発保有国が参加して、原発のリスクを最小化するための「人的、組織的、制度的、文化的条件」を議論し、共有し、実行する「国際的な原発安全保障体制」を確立することであり、もう一つは、原発のリスクを最小化するための「技術的条件」を提供する「国際的な原子力環境安全産業」を育成することです。
一つは、世界中の原発保有国が参加して、原発のリスクを最小化するための「人的、組織的、制度的、文化的条件」を議論し、共有し、実行する「国際的な原発安全保障体制」を確立することであり、もう一つは、原発のリスクを最小化するための「技術的条件」を提供する「国際的な原子力環境安全産業」を育成することです。
- 「世界でも最先端の技術やノウハウ」とは
世界でも最高水準の「原発安全対策技術」や「廃炉・解体技術」、「放射性廃棄物の処理・処分技術」や「環境モニタリング技術」、さらには、「環境除染技術」や「放射線影響低減技術」などを開発するということです。日本が「脱原発依存国家」への道を歩むためには、原子力エネルギーの利用を安全に、そして現実的に終えていくための「原子力環境安全産業」を育てると同時に、「省エネルギー産業」と「自然エネルギー産業」を大きく育てていく必要があります。
世界でも最高水準の「原発安全対策技術」や「廃炉・解体技術」、「放射性廃棄物の処理・処分技術」や「環境モニタリング技術」、さらには、「環境除染技術」や「放射線影響低減技術」などを開発するということです。日本が「脱原発依存国家」への道を歩むためには、原子力エネルギーの利用を安全に、そして現実的に終えていくための「原子力環境安全産業」を育てると同時に、「省エネルギー産業」と「自然エネルギー産業」を大きく育てていく必要があります。
2012年8月17
「脱原発依存」は法律で定めよ原子力規制委員会設置法も成立し、原子力規制委員の候補も発表され、いよいよ9月には、原子力規制委員会と、その事務局である原子力規制庁が設置される。元内閣官房参与の田坂広志氏がその規制委員会について提言す...
- 原子力規制委員会の設置は、改革の単なる「入り口」
「原子力安全・保安院」は、国会事故調査委員会によって、「規制当局は電気事業者の『虜』となっていた」と指弾され、電力会社との「馴れ合いの関係」が批判されたように、国民が、「この規制組織は、電力会社や原子力産業の利益のためではなく、国民の生命と安全を守るために、原則を貫き、厳しい安全審査の判断をしてくれている」と信頼することが全くできないものだった
候補者選定のプロセスを国民に公開した形で、透明性をもって行うという方法もあったかと思います。
「原子力規制委員会と原子力規制庁に、いかにして第三者的なチェックを行い、基本的なガイドラインを示すか」ということです。
「我々は、経済性への配慮や産業界への配慮をすることはない。国民の生命と安全の観点からのみ判断をする」
これが、本来、原子力の規制に携わる人間が明確に持つべき「厳しい規制意識」であり、規制組織が持つべき「厳しい規制文化」です。
- 「世界の常識」から外れた日本の規制組織の文化
福島原発事故の後でさえ、マスメディアなどで、「原子力が無いと日本の経済はおかしくなる」「原発を再稼働しないと、日本の産業が打撃を受ける」といった発言を、平然とする人がいるからです。
これは、世界の原子力規制の「常識」からすると、まさに「非常識」なことなのです。
電力業界から委託研究費を受け取ったり、講演料を得たり、接待を受けたりすることも、原子力規制に関わる学識者は、厳しく自戒しなければならないですね?
こうした日本特有の「灰色の規制文化」が、今回の福島原発事故の背景に遠因として存在していることも、多くの国民は感じています。
- 「新たな看板」と「従来の職員」の規制組織
原子力規制委員会の事務局として活動する原子力規制庁の職員もまた、どれほど明確に、「国民の生命と安全を守る」という規制組織の職員としての意識を持てるか。それが深く問われるでしょう。 - 極めて重要な「ノーリターン・ルール」
猶予条項が入った結果、職員は、「退路を断って、新たな規制組織を創る」という意識ではなく、むしろ、「5年後に戻る可能性のある出身母体=経済産業省の意向を常に気にする」という意識になってしまう
福島原発事故のもたらした深刻な被害を考えるならば、国民の生命と安全を守ることに誇りを持ち、生涯を賭してその職務に尽くすことを喜びとする公務員が生まれてこなければ、日本の原子力規制は、どこまでも、原子力推進に従属した「陰の存在」になってしまうでしょう。
- 原子力規制委員会に「国外委員」の招聘を
原子力規制委員会も、「国外委員」を招聘することによって、「規制の透明性」を高め、「国民の生命と安全の尊重」を図るようにするのです。
この「国外委員」という原子力規制委員会の方式を採ることは、単に日本国内の原子力規制を透明にするという意味だけでなく、今後の新興国の「原発建設ラッシュ」を考えるとき、将来、大きな国際的な意味を持つことになる
これから新興国が原発建設に向かうとき、原子力規制において「国外委員」を招聘し、「規制の透明性と独立性」を高めるということを「国際的な標準」にしていくことができるからです。
- 国会に「原子力行政改革委員会」の設置を
原子力規制委員会と原子力規制庁の「規制意識」と「規制文化」の強さにかかっている
- ガイドラインとしての「脱原発基本法」の制定を
原子力規制委員会の規制判断に対する明確な「基本的ガイドライン」を示すということ
原子力規制委員会は、本来、「技術的・専門的な観点」から規制判断をすべきであり、本来、「長期的な国家政策」や「高度な政治判断」に属する諸問題について、その役割を担うべきではない
No04国会事故調は「犯人探し」に陥ることなく、原子力行政の抜本改革を
- 国会事故調の究極の役割は、原子力行政に対する「国民からの信頼の回復」と思います。
なぜなら、福島原発事故によって「絶対安全の神話」が崩れ去り、政府の原子力行政に対する国民からの信頼は、完全に失われてしまったからです。従って、国会事故調には、国民を代表する立場から、「3つの課題」に取り組み、原子力行政に対する国民からの信頼を回復するという重要な役割があると思います。 - 国民が事故調に負託した「3つの課題」
第1の「事故原因の徹底的究明」ではないのでしょうか?「組織的責任の明確化」や「原子力行政の抜本的改革」という、第2、第3のミッションも担う必要がある
「視野狭窄」に陥ることです。すなわち、これら「3つの課題」に取り組むとき、意図せずして「視野」が狭くなってしまう可能性があります。言葉を換えれば、取り組むべき「課題」を限定してしまうという落とし穴です。
「事故原因の徹底的究明」においては、単に「技術的要因」を解明するだけでなく、「人的、組織的、制度的、文化的要因」にまで踏み込んで、「真の原因究明」に迫るべきでしょう。
- 国民の不安は「技術的要因」より「組織的・制度的要因」
国民が再稼働に不安を抱く理由は、「技術的要因」を懸念しているからだけでなく、まさに「人的、組織的、制度的、文化的要因」を懸念しているからであることを、政府は理解するべきでしょう。
国民は、原発を利用するだけの能力意識レベルにあるかに懸念を抱くべきでしょう。言葉を換えれば、「3.11以前の法律で、3.11以前の組織が、3.11以前の手順で安全を確認する」ことで再稼働を良しとする政府の姿勢に、「これは、いつか来た道ではないのか」と疑問と懸念を抱いているのです。
「個人の責任」を追及することで終わってしまう
「犯人探し」をするのが目的ではなく、「なぜ、その個人の過ちを組織や制度が防げなかったのか」「今後、同じ過ちを繰り返さないために、どのような組織と制度の改革を行うべきなのか」を明らかにすることが求められている
「いかなる経営者、担当官、大臣であっても、事故を未然に防ぐことができ、万一事故が起こった場合にも適切な対策が取れるような、組織構築、制度設計、文化創造」こそが指針として示されるべき
福島原発事故の教訓に深く学び、「組織の何を改善するべきか」「制度の何を改革するべきか」という最も大切な問題を、国民に提起できずに終わってしまっています。
原子力規制庁であれば、その長官から一般職員に至るまで、原子力規制委員会であれば、委員長からすべての委員に至るまで、「国民の生命と安全の観点からのみ、安全性を審査する。そこに決して、経済性への配慮や産業界への配慮を混入させない」という厳しい姿勢を貫き、そうした姿勢を当然とする組織文化を築くことです。そして、産業界もメディアも、そうした原子力規制庁や原子力規制委員会の厳しい姿勢を批判することなく、受け入れ、支援するという社会文化を形成することです。
- 海外から「国外委員」の招聘を
原子力規制委員会においても「国外委員」を招聘することによって、委員会の透明性と客観性を確保することです。
世界が直面するさらに難しい問題を解決するための「戦略的布石」という側面がある
ベトナムでも、UAEでも、新興国で甚大事故が起こったときは、その影響は、まさに「地球環境問題」と呼ぶべき、国際的な環境汚染の問題
- 「原子力行政改革委員会」への進化を
「原子力行政改革委員会」に発展的に改組し、冒頭に申し上げた「事故原因の徹底的究明」「組織的責任の明確化」「原子力行政の抜本的改革」という3つの課題の解決に向け、さらに強力に活動を展開していくべきでしょう。
No03「地元」の定義が変わり、原発再稼働は壁に突き当たる
「地域エゴ」と「世代エゴ」を超えなければ難題は解決できない東京電力福島第1原発事故を受け、内閣官房参与として官邸で事故対策に取り組んだ田坂広志。今回は大飯原子力発電所の再稼動でも議論を巻き起こしている「地元」の問題について解説する。
- 「地元=立地自治体」という論理は通用せず
「地元」とは、原発が立地されている「立地自治体」を意味していたわけですが、事故の後、「地元=立地自治体」という論理は全く通用しなくなりました。
東日本全体、さらには日本全体を「地元」と考えざるを得ない状況になったわけです。
「協議相手の自治体が増える」ということが、難しさの本質ではないのです。
「利益誘導」による合意形成ができなくなる
「原発が近くにあることの不安や、原発の事故が起こったときのリスクを受け入れる代わりに、我々地元が経済的なメリットを享受するのは当然だ」という主張をしても、それなりに説得力があったのです。
その結果、これからは、立地自治体が原発再稼働を受け入れた場合、立地自治体ではない周辺自治体の首長や住民の方々から、「あなた方は、経済的なメリットがあるから再稼働を受け入れることができるかもしれないが、我々は、そうした直接的経済メリットもなく、ただ、不安とリスクを負わされるのだ」という批判を受ける状況になってしまったのです。
- 立地自治体の再稼動受け入れには「地域エゴ」の批判も
福島原発事故の後は、立地自治体が地元への経済的メリットを考慮して再稼働を受け入れたとき、最悪の場合には、周辺自治体から「地域エゴだ」との批判を浴びる状況さえ生まれてしまった
原発が国民レベルの問題として浮上した「利益誘導」だけに頼った従来の古い考えを捨てなければなりません。
「社会全体へのメリットを提示することによって、国民の納得を得る」という方法へと発想を切り替えなければならない
政府も電力会社も、原発を再稼働することの社会全体へのメリットを、明確には示して来なかったのですから。
「依らしむべし、知らしむべからず」という「お上」的な発想が、抜け切らず存在する
- 国民も「電力を手に入れるためのリスク」を考えるべき
これからは、「必要な電力を手に入れるために、社会全体として、どのようなリスクを負わなければならないか」を一人ひとりの国民が深く考えることが求められる
リスクがあるのは原子力エネルギーだけではありません。石油や天然ガスなどの化石エネルギーにも、国際紛争などによる価格の高騰などの「地政学的リスク」があり、自然エネルギーにも、開発途上の技術であることによる「不確実性リスク」があります。
この原発再稼働の問題は、「国民一人ひとりの意識の成熟」が問われている
「地元にお金が落ちるのだから、社会全体のリスクには目をつむろう」という発想や、逆に、「原発の恩恵には浴してきたが、その結果発生する放射性廃棄物を自分たちの地域に受け入れるのは嫌だ」といった発想です
- 国民の「意識の成熟」が問われる究極の問題
これは、「現在の世代のエネルギー需要を満たすために、未来の世代に重い負担を押し付けてもよいのか」という倫理が問われる問題
「地域エゴ」の問題が、「我々の地域さえ良ければ、他の地域の負担など関係ない」という無意識の社会心理であると同様、この「世代エゴ」の問題は、「我々の世代さえ良ければ、未来の世代の負担など関係ない」という無意識の社会心理なのです。
- 「未来の世代の便益」の発想を
政府と電力会社は、狭い意味での「地元の合意」を得るという発想を超え、広く「国民の納得」を得るという発想へと切り替える必要があるのです。
そして、国民もまた、狭い視野で「地元の利益」や「現在の世代の利益」だけを考えるのではなく、「社会全体の便益」や「未来の世代の便益」を考える発想へと、成熟していく必要があるのです。
No02原発再稼働に向け政府が乗り越えるべき「三つの壁」
国民は原子力行政が「いつか来た道」を走ることを恐れている大飯原発の再稼働の問題が注目されている。電力需給の逼迫への危機感から原発再稼働の動きが強まってきた。一方で事故発生から一年を経て福島原発事故の原因究明は道半ばだ。国民は原子力行政が「いつか来た道」を走...
- 「ストレステスト」と「原子力安全委員会」の手続き追加で、国民は納得するか
政府が暫定的に次の三つの手続きを付け加えたものです。
第一は、新たに「ストレステスト」を導入することであり、第二は、「原子力安全委員会」が安全性の確認をすることであり、第三は、総理大臣、官房長官、経産大臣、原子力行政担当大臣の「四大臣の協議」によって最終判断をすることです。
「それで、国民が納得するか」ということを「国民の常識的感覚」に則して考えてみるべきだ
- まだ究明されていない「真の事故原因」
「何が事故の真の原因であったか」が解明されていない段階なのです。
その状況において、いかなる論拠をもって「安全性を確認した」と言えるのか。
そのことを、多くの国民は疑問に思っているわけです。
「結論ありき」の「見切り発車」の姿勢こそが、今回の福島原発事故の背景にある「組織的問題」であることを、多くの国民は敏感に感じ取っているのです。
- そもそも、「原発の安全性」とは何か?
多くの国民は、そうした「技術的安全性」だけでなく、「人的、組織的、制度的、文化的安全性」を含めて、「最高水準の安全性」を確保して欲しいと思っている
- 現在の原子力行政は「国民が信頼して任せられる人材と組織、制度と文化」になっているか
その基準を設定し、安全性を審査する人材や組織、制度や文化が、国民から見て「信頼して任せられる人材と組織、制度と文化」になっているかという問題です。
「技術的問題」を解決するだけでは「最高水準の安全性」を実現することはできない
現在の原子力行政と原子力産業の「人的、組織的、制度的、文化的問題」に果敢にメスを入れ、徹底的な改革をすることが求められる
- 政府が「三つの壁」を越えなければ、国民の納得は得られない
第一は、「事故原因の徹底究明」です。
第二は、「責任の所在の明確化」です。
第三は、「原子力行政の徹底的な改革」です。
- 国民が恐れているのは、原子力行政が「いつか来た道」を走ること
原発再稼働に向けての政府の取り組みが「本来、どうあるべきか」という基本論です。
「本来、どうあるべきか」という基本論を、絶対に曖昧にしてはならないのです。
政府が、この基本論を明確に理解し、遵守しようとする姿勢を示すことこそが、国民から政府への信頼を回復する唯一の道だからです。信念を明確にすること
多くの国民が恐れているのは、再稼働した原発がすぐに重大事故を起こすかどうかという問題よりも、「本来、どうあるべきか」を曖昧にしたまま走る原子力行政が、また、「いつか来た道」を走り始めること
No01「原発事故の最悪シナリオが避けられたのは“幸運”に恵まれたからです」
今、戒めるべきは「根拠の無い楽観的空気」原子力の専門家である田坂広志氏は内閣官房参与として昨年3月29日から9月2日まで原発事故の対策にあたった。最悪シナリオが避けられたのは幸運に恵まれたからと指摘、原子力行政を根拠のない楽観的空気が取り巻...
- 首都圏三千万人避難の可能性もあった
「最悪のシナリオ」: 1号機の格納容器や圧力容器で水素爆発が起こり、容器外への大量の放射能の放出が生じる。これに伴ってサイト内の被曝線量が急激に増大し、作業員はサイトからの退避を余儀なくされる。その結果、すべての原子炉と使用済み燃料プールの注水と冷却が困難になり、時間の経過とともに、原子炉と燃料プールがドライアウトを始め、まず、4号機プールに保管してある使用済み燃料が溶融崩壊を起こし、コンクリートとの相互作用により、大量の放射能の環境への放出が始まる。そして、それに続いて、他の原子炉や燃料プール内の燃料も溶融崩壊を始め、さらに大量の放射能の環境への放出が起こる。
もし、深刻な水素爆発が起こっても、「最悪シナリオ」に向かって、最低でも1週間近くの時間的余裕は存在する状況でした。
「何が起こっているかが分からない状況」というのは、「何が起こってもおかしくない状況」を意味していたわけです。
- もう一つの最悪シナリオ
「何が起こっているかが分からない状況」というのは、「何が起こってもおかしくない状況」を意味していたわけです。
やはり、「幸運だった」と言わざるを得ないのです。
- いま広がる「根拠のない楽観的空気」
「根拠の無い楽観的空気」こそが、今回の福島原発事故を起こした遠因であることを、我々は、肝に銘じるべきでしょう。
「幸運だった」ということは、リスク・マネジメントが有効に機能していないことを意味しています。
一つは、「起こった危機の原因、経緯、現状が、明確に把握できていること」。
もう一つは、「起こった危機への対処、管理、制御が、明確にできること」。最初に直面する最大の問題は、住民の「健康的リスク」ではなく、社会全体の「心理的パニック」だからです。
- 「進むも地獄、退くも地獄」
必ず、首都圏全域において極めて深刻な「社会的パニック」が起こるでしょう。
そもそも、原子力の問題を語るとき、多くの識者は、「安全」と「安心」が重要であると言われますが、実は、「安全」と「安心」よりも重要なものがあるのです。
- 「安全」「安心」よりも重要な「信頼」
第一に重要なことは、「リスク・コミュニケーション」です。
アルストム争奪戦
(1)GE阻止 ミヤナガ動く
- GEが提示した買収額は三菱重工の売上高の約半分にあたる1兆7000億円。
- アルストムが持つアフリカや中近東などの商圏を一気に握り、今後の世界のエネルギー産業で絶対的な地位を打ち立てようというGEの意志を、その巨額な買収額は示していた。
- アレバはシーメンスに三菱重工と組むよう促し、宮永にもGE対抗に動くよう幾度となく要請していた。
(2)シーメンスへの不信
- 「アルストムの管理職の多くがシーメンスを嫌っていた」。ある交渉関係者は打ち明ける。優位に立っているとの思いが、ときに相手を見下す態度となって表れ、アルストムの誇りを傷つけていた。
- GEにアルストムは渡せない――。モントブールは素早く動いた。
(3)重電版エアバス構想
- シーメンスがアルストムのエネルギー事業を買収する代わり、アルストムはシーメンスの鉄道事業を譲り受ける――。
- モントブールは同日、シーメンスが公表していない提案内容を口外し、「欧州にエネルギーと鉄道の2つのチャンピオンが生まれる」と賛辞を送った。
(4)「アトミック・アンヌ」登場
- 仏国内の原発の維持管理を米国企業に握られることになる。
- 白羽の矢が立ったのがアレバの提携先の三菱重工業だ。
- 「ドイツは嫌だが、日本ならいい」
- 望み通りGEとの提携が決まったアルストムだが、CEOのパトリック・クロン(60)は交渉の蚊帳の外に置かれた。
(5)真の勝者は
- GEと火力発電で提携する東芝社長の田中久雄(63)も今後のGEの動きを注視する。
- 一方、戦いに敗れた独シーメンス・三菱重工業連合。
- シーメンス社長のジョー・ケーザー(57)は社員にこんなメールを送った。「アルストムに仏政府も出資することになり、GEに足かせをはめることができた」
- 2カ月にわたるアルストム争奪戦の軍配はGEにあがった。
- そのGEは提携の果実を十分に引き出せるか。
- シーメンスや三菱重工は、GEを上回るような対抗策を見つけられるのか。




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