先に、温暖化とエネルギー問題で、第二作業部会の統括執筆責任者三村信男氏の報告について、まとめておいた。その報告書について《なおざりにされる科学の基本》と問題を指摘し、4つのポイントから、指摘する。
なおざりにされる科学の基本
- 温暖化の悪影響が深刻であるとするならば、IPCCまたは別の主体が、それが何なのか、改めてはっきりさせる必要がある。
- 日本はそのような問題の解決にも注力しなければならず、温暖化対策に割ける国力には限度があって、ありうる影響に見合うものにしたい。だからこそ、地球温暖化の影響については、科学的に正確な知識が欲しいところである。
- 「分からない」というのも重要な情報なのだが、この点についてもはっきり示されることは無かった。
- 温暖化問題の一人の専門家として、この4月に横浜で採択されたIPCC第2部会の環境影響評価報告を批判する。
- 地球温暖化は起きており、それが人為的な温室効果ガス排出によること、およびそれによる一定のリスクを否定するものではない。
1.「専門家判断」
- 専門家判断というのは、もちろん一定の意味合いはあるとは思うが、科学的な証拠かと言われるといかにも弱い。
- その専門家判断が正しいかを読者が読み取れるようになっていなければならない。
2.生態系への影響
- 図2のような図を見せて、温暖化を2度に抑制しない限り未曽有の大絶滅がおこるかのような要約は、極めて不適切だと言いたい。
3.漁獲への影響
- 最も重要な要因である乱獲について考慮しておらず、また食物連鎖についての取り扱いも不十分である。
- 要約になるとその情報が欠落して、危機感をあおるだけになってしまっている。
4.農業への影響
- 予測の件数は科学的知見の正誤とは何の関係も無いもの
- もともと涼しい地域で発達したとうもろこしや小麦などの穀物は、熱帯で、しかも温暖化すれば、収量が下がるのは当然だろう。実際、米については熱帯でも収量が減らない。これらの論文を一緒くたに扱って件数だけ数えて、温暖化は悪影響のほうが好影響より大きいなど結論をしている。これは明白な誤りである。
5.おわりに
- 地球温暖化の影響評価については、温暖化以外の方法で人為的に環境が大規模に改変されてきたという歴史や、人間の適応能力の高さを考慮して、リスクを冷静に評価しなければならない。だが筆者の見る限り、今回の環境影響報告ではこれはなされていない。
- 人々がもつ温暖化の悪影響への懸念とは、実体としては、「世界が人間によって作り変えられてしまう」という概念への、審美的ないし心情的な嫌悪感ではないかと思っている。
- 科学的知見をまとめる役目のIPCCまでもが、人々の心情に寄り添おうとして、科学的な知見を正確に提供するという役割を果たさなくなってしまっては、
- IPCCへの懐疑論が沸き起こり、ひいては温暖化問題が存在すること自体への懐疑や、温暖化対策を実施することへの政治的支持の低下にも繋がっていくからである。
- それが要約にまとめられる過程において問題が生じたのではないかと疑っている。
- IPCC 第2部会は「集団思考の罠」に陥っているという。
- 地球温暖化を重要課題と考えている研究者や各国の環境問題担当者ばかりが集まって議論する結果、視野が狭くなってしまっている、
- 現在の科学的知見において、2度を超えると温暖化の悪影響が深刻になるとは言えない、ということなのではないか。
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